【しつけの心理学】 しつけが脱線!? その意外なスタート地点
今回のテーマは「のびのび子育て」についてです。
良いイメージしかないのびのび子育て。でも意外なことに落とし穴もあります。「しつけの心理学」という切り口で、のびのび子育てで気をつけたいことについてお伝えしていきます。
ドイツの研究でも証明されている”のびのび子育て”
我が子が誕生したとき、多くの親御さんがこう思います。
「この子をのびのびと育ててあげたい」
のびのびと育てたいという思いは私も賛成です。心理学でも、「のびのび子育ては良いこと」と推奨されています。
あるドイツの研究では、子ども時代に、「決められたスケジュールの中で遊んでいた」と答えた人たちよりも、「自由に遊んでいた」「自分の好きなことをして過ごした」と答えた人たちの方が、大人になって社会的に大きく成功している傾向が高いことも分かっています。
子ども時代にのびのびした環境に置かれることで、その子は色々なことを自分で決め、管理する経験を得られるので、将来の自分力へとつながるのだそうです。
でも実は、”良いのびのび”と”悪いのびのび”がある
しかし、「のびのび」というのは、とてもあいまいな言葉です。どれくらいが”のびのび”なのかは、それぞれのご家庭、つまりそのお家のパパ、ママの主観に委ねられているため、ご家庭によってバラバラです。
もし、「のびのび育てたい」という思いに、「叱ると子どもの心を傷つけそうで怖い」というような不安が重なると、子どもが「えっ!」と思うようなことをやっても黙認という展開になりがちです。
ドイツの研究のような「良いのびのび」と、限度を超えた「悪いのびのび」をひとくくりに「のびのび子育て」としてしまうのはよくありません。
生まれたときに持った「子どもはのびのびと育てたい」という純粋な思い、その段階では、どのご家庭も大差がないように思います。しかし、実際の子育てがはじまると、その思いがだんだんエスカレートし、「ならば自由にさせた方がいい」「好き放題させてあげるのがいい」と子どもの行動を黙認するようになってしまうケースが出てくるのです。
すると、どうなるか?
そのご家庭には、叱らないパターンが確立し、しつけは完全に脱線してしまいます。
のびのび子育てのやり方を間違えるとしつけの脱線に…
今、「叱らない子育て」が広まっていますが、ただ黙認するタイプの「叱らない子育て」は、あとあとになって困ってしまうことが大半です。叱らない子育てを実践する場合は、正しい知識を持って取り組むことがポイントになります。
これまでの経験を踏まえると、カギになる年齢は1歳。自発的に動けるようになり、遊びが活発になってくる時期になったら、いったんしつけのあり方を振り返ってみるのがおすすめです。
ネンネばかりの赤ちゃん時代とずっと同じ接し方では、いつかママが追いつけない状態になってしまいます。2歳のイヤイヤ期前までに、良いのびのび子育てと悪いのびのび子育ての違いに気づいておくことが、しつけの脱線を防ぐポイントなのです。