前向き、プラス思考、ポジティブシンキング、これって生まれつき?

私が日ごろ行っている育児相談やカウンセリングは、リアルな育児の現場です。様々なお悩みが持ち込まれますが、それらを心理学の知識を用いながら、改善へと導いていきます。

この『ポジ育の現場から』のコーナーでは、私が実際に支援の現場で用いている有効な心理学知識をご紹介しています。知っておいて損はないコンテンツですので、ぜひご参照ください。

今回のテーマは、「前向き、プラス思考、ポジティブシンキング、のような思考傾向は生まれつきなのか?」についてです。

前向きな子、そうでない子、いつ決まるの?

世の中にはプラス思考タイプとマイナス思考タイプの人がいます。ただ、きっちりとプラスかマイナスかが別れるわけではなく、どちらかというとプラス寄り、どちらかというとマイナス寄り、のような傾向としてみられることが多いです。

あとは、時と場合によって、プラス思考になったり、マイナス思考になったりということもよくあります。

では、こういう傾向は、いつどのようにできあがるものなのでしょうか?

育児相談などでお話をしていると、こういう思考傾向は、もともと生まれつきだと思っている方が意外に多いです。ですが、実はそうではありません。

もちろん、生まれ持った気質があるので、機嫌がいいことが多い子もいれば、気難しい子もいて、もともとからのプラス傾向、マイナス傾向というのはあります。しかし、それを土台の上に、生まれた後の経験を積み上げて形成されていくものです。

いったん作られた思考スタイルは定着しやすい

私が行っている子育て心理学講座でも取り扱っていますが、プラス思考か、マイナス思考かは、子供時代に発展し、やがて定着していく”思考パターン”です。

”子供時代に作られる”というのもポイントなのですが、”定着する”というのがさらに見逃せないポイントでして、いったんできると、その後は、基本的にその考え方で生きていくことになります。

つまり、プラス思考の子は世の中をポジティブに捉え、マイナス思考の子は世の中をネガティブに捉えて成長していくことになります。それを何年、何十年と繰り返していくので、どんどんと固まっていくのです。

と言うことは、今、私たちが毎日使っている思考パターンというのは、私たちが子どもの当時に作り上げたもの。そのテンプレートを使って、子どもをほめたり、叱ったり、コミュニケーションを取ったりしているわけです。どんなテンプレートを作るかということが、とても大事なのがお分かりいただけると思います。

小学校入学までの親子のポジコミがカギ!

私がポジティブ育児メソッドの中で、親子のポジティブコミュニケーション(略してポジコミ)を大事にし、それについてたくさんお伝えしているのは、親ができることがたくさんあるからです。

これまで、様々なご家庭のご相談に乗ってきましたが、物事をポジティブにとらえることができる子は、やはり物事への取り組みが前向きだったり、立ち直りが早かったりとメンタルの強さで違いがあります。

今は、生きにくい時代だと言われますが、子供たちにとって、少しでも生きやすい環境を整えてあげられるのは、親だからこそです。一緒にいられる時間が圧倒的に長い幼少期に、どんな関わり方をするといいのか、これを知っているのとそうでないのとでは、その子のその後に大きく影響します。

とくに、今、お子さんが言葉を学び中という方は、まさに伝えどきです!

ポジティブというと、印象的に「明るい」とか、「前向き」という印象があるかもしれません。ポジコミでは、そんな印象をもっともっと具体的にしていき、どんな言葉が”プラス思考的”なのかをわかりやすく区分しています。

たとえば、叱るときの

  • 時間軸を広げる言葉「この前もやったでしょ!」「毎回どうしてできないの!」
  • 空間軸を広げる言葉「あれもできないのに、これもできない、ホント最悪」「何もできてないじゃない!」

はポジコミの逆、ネガコミです。

これらの言葉を使ってしまうと、パパ、ママの怒りをエスカレートさせ、その勢いで子どもを傷つけるようなことを言ってしまいがちです。なので、このような言葉を意識的に使わないようにするのが、ポジコミへのステップ1になります。

そして、今、目の前で起こっている困った行動だけに目を向けた言葉を選んで使っていく練習をしていきます。

たとえば、「今の○○を~~しなさい」とか、「この○○は~~だよ」のような限定的な言葉たちがその一例です。

コミュニケーションは親子間の会話はもちろんのこと、ここで挙げた叱り方もそうですし、あとはほめ方も含みます。要は、親子間で交わされる言葉の質を上げることが、ポジコミの目的です。

ポジ育の子育て心理学講座は、その名のごとく、「ポジティブな物の見方とは?」ということを心理学的な見地からご紹介しています。とくに、はじめのベーシックコースは、知っておいて損はない子育て心理学の基礎を詰め込んだ内容になっていますので、前向き育児に興味を持ってくださったら、ぜひ受講を検討してみてください。スマホやタブレットなどで、好きな時間に動画で学べる形になっています。

https://pp-labo.org/basic/