【しつけがうまくいかない悩み】 厳しすぎるのもダメ、甘いのもダメ…
「子育ての悩み」のカテゴリーでは、育児でよくある迷い、悩みなどにフォーカスを当てています。
今回は、「子どもにどれくらい厳しくしたらいいのか、甘くしていいのか、その加減がわからずブレてしまう」という悩みにフォーカス。そんな迷う心にお答えしていきます。
厳しくても甘くてもしつけはうまくいかない
しつけというと、イメージ的に”厳しいもの“という印象があるため、「厳しいしつけ」と「甘いしつけ」を比べ、どちらがダメなのかとか、どちらがうまくいかなそうな気がするかと聞かれたら、甘いしつけの方と答える方が多いかもしれません。
ですが、実際はどちらもうまくいきません。
実際に私の相談室に持ち込まれるお悩みを見ても、次の2つパターンが非常に多く見られます。
「しつけはしっかり厳しくやってきたのに、子どもが反発する」
「正直しつけは甘めだった。今になって手に負えなくなってきた」
つまり、厳しすぎても甘すぎても、子どもは言うことを聞かなくなるということなのです。
「厳しすぎてもうまくいかないし、甘すぎてもうまくいかない。ちょうどいいというのが分かりにくい」
これがしつけの難しいところでもあります。
なぜ甘いとダメなのか
「しつけが甘すぎるとうまくいかなくなるだろう」というのは、きっと想像できると思います。なぜなら、そこには子どもへの教えがないからです。
よくあるのが、
「いつか学んでくれる」
「もまれることで理解するようになる」
という思いで、子どもの自主性に期待し過ぎてしまうケースです。
考えればわかることですが、2~3歳の子が、「こういうときはこうしなくちゃいけない」とか、「こうしてはいけない」というようなルールを自分で学び、しっかり行動に起こすということはできるでしょうか? そこには、少なからず自分の欲求を抑えなくてはいけない過程があるので、基本的には自分の欲求の方に従ってしまいます。もちろん子どもが悪いわけではありません。まだ小さいうちは、満足遅延耐性という「のちのちの満足のために今をがまんする力」が備わっていないので、どうしても自分の欲求の方が優先されてしまいます。
だから、ちょっとがまんしなくてはいけない場面では、大人がリードしてそれを体験させてあげることが大切なのです。
「いつか学んでくれる」は親のすべきことを外部に投げてしまっている状態です。とくに子ども同士のけんかの場面では、それぞれのご家庭の教えの違いがトラブルになることも多く、よくあるのが、「子どもはけんかしてもまれることで仲良く遊ぶことを学べる」という見解です。
これは、仲良く遊ぶ方法を家庭教育でしっかりと教えてあげたご家庭の方が言うのであれば、「たしかに現場で学べることは多い」のですが、実際には家庭教育をおろそかにし、そのまま子どもを社会に出し、園でトラブルを起こしてしまうケースも多いのです。
「いつか学んでくれる」
「もまれることで理解するようになる」
というのは、しつけとしての教えはしっかりしたけれど、現場じゃないと学べないこともあるという意味合いで使う信念です。なにもせずに子どもに期待だけしてしまうのは、甘いしつけの最たるものであり、いずれは子ども自身が困ることになるので、「甘いしつけ」というのは望ましくないのです。、
なぜ厳しすぎるとダメなのか
「甘いしつけはうまくいかない」というのは、理解しやすいと思いますが、ではなぜ厳しすぎるのもまたうまくいかないのでしょうか?
それは、子どもの自由度を奪ってしまうため、その子の心にフラストレーションが溜まり、それがいつの日か爆発してしまうからです。
この“いつの日か”というのは個人差があります。幼稚園で反発がひどくなる子もいれば、思春期の中学時代の子もいます。はたまた大人になるまで沸々という思いのまま行ってしまう人もいます。
厳しすぎるしつけでは、その子の生活は過管理されているため、あらゆることを親が統制してしまっています。幼稚園時代くらいに、その爆発が出れば逆に幸いで、そこから見直しをかければ、いくらでも改善を導けます。しかし、その爆発が起きずにそのまま大きくなってしまうと、親がすべてを決めることに慣らされてしまい、弊害として、「自分で考えない」という影響も出てくることが多いのです。考える必要がないわけです。
親が過管理し、子どもが過管理される
この状態は長年続けていると、持ちつ持たれつの関係になり、そこで丸く収まってしまうことがあり、子どもの自立を阻むことにもなります。
私たち親が気をつけなくてはいけないのは、いくら自分の子どもとはいえ、子どもには子どもの意志や考えがあるということです。
- まるでリモコンで動かすように、子どもを操作していないか
- 子どもの行動を思うままにコントロールできる気でいないか
この部分はしっかり振り返ることが大切です。
必要なのは、そこそこ守れるルールやお約束
しつけは甘いのもうまくいかないし、厳しすぎるのもうまくいかない。
うまくいくのは、ほどほどのしつけです。
しつけというと、「○○はいいよ、××はダメだよ」というようなルールやお約束という形で伝えられることが多いと思いますが、ルールは守れなければ、あっても意味がないものなので、守れるルールを作ることが大切です。
当たり前のことのようですが、でも案外ルールを作ること自体はするけど、守れていないということが多いのです。単純にルールをゆるくすればいいということではなく、どうやって守っていくかの工夫も非常に大事ですが、親も子も守れないようなルールでは。単に理想を掲げている状態になるので、守るためのルールを作るという意識が大事になります。
「このくらいなら、これから1か月後でも守れているかな」
くらいがちょうどいいと思います。
これまであまりにも甘めで来てしまったために、ゆるいルールやお約束でさえ通らないという場合は、段階的に行う必要もあるでしょう。たとえばこれまで1日5時間テレビを見ていた子に、「今日から1時間」としたらまずうまくいきません。数ヶ月かけて、少しずつ目標値を下げていくつもりで取り組む必要があります。
私はよく、
その子の気質×親の気質×親の接し方×年数=現状
と言っています。
年数というのは、それだけ習慣化が進むので、改善にも時間がかかります。
でも、今やろうと気づいたら、まさに今がはじめどきです。しつけの仕切り直しをしたいなと思ったら、先延ばしないことをおすすめします。
私が運営する育児相談室では、1か月集中で取り組む行動改善プログラムをやっており、しつけのことで悩んでいるご家庭の仕切り直しをサポートしています。ご興味ある方は下のリンクをのぞいてみてください。