「上の子可愛くない症候群」なりやすい人の特徴7

「2人目の子が生まれて、なんだか上の子が可愛く思えない……」そんな経験、ありませんか? 実はこう感じるのは珍しいことではなく、今では「上の子可愛くない症候群」という呼び名までできています。ただ、誰もがなりやすいわけではありません。今回は、この症候群に陥りやすい人の特徴を7つピックアップしていきます。

まずは上の子可愛くない症候群に陥りやすい要因をお伝えし、それを踏まえて特徴を7つ取り上げていきます。自分の今の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

上の子可愛くない症候群の原因10

私の相談室で、「上の子可愛くない症候群で悩んでいる」とおっしゃる方が増えてきたのは、2年くらい前から(2022年あたりからでしょうか)。それぞれにお話しを聞くと、「上の子が可愛くない」という状況自体は共通していますが、その理由は多岐に及びます。ここでは、よく聞く理由を10個挙げていきます。

下の子のお世話の大変さ

赤ちゃんは親への依存が強く、特に乳幼児期は授乳やおむつ替えなど手がかかります。そのため、親の時間や注意が自然と下の子に集中してしまい、上の子との関わりが少なくなることがあります。上の子が何かを要求してもすぐに対応できず、その結果イライラしやすくなります。これが、上の子への不満を感じる一因になります。

上の子の反抗期

上の子が「イヤイヤ期(第一次反抗期)」に入ると、自己主張が強くなり親の指示に反発する場面が増えます。特に下の子との違いが際立つ時期であり、上の子の行動が親にとって扱いにくく感じられることが多いです。親は上の子に対してストレスを抱えやすく、叱ることが増えるため、親子関係が悪化しやすくなります。

親の完璧主義

完璧に育児をこなそうとする人ほど、思い通りにいかない現実にストレスを感じやすくなります。特に上の子への期待が高まり、その期待に反して思い通りにならないと、親自身のプレッシャーが大きくなります。その結果、上の子に厳しく当たってしまい、親子関係が冷え込むことがあります。

体力的・精神的疲労

育児は体力的にも精神的にも大変な仕事です。特に、下の子が生まれたばかりの時期は、夜泣きや授乳で睡眠不足が続くことが多く、慢性的な疲労が溜まります。この疲れが積み重なることで、上の子の行動に対して感情的に反応しやすくなり、怒りっぽくなることがあります。

上の子への期待

下の子はまだ親に頼り切っているため、お世話をする時間が自然と増えます。一方で、上の子はある程度自立していることを期待され、親は上の子に対して過度に厳しくなったり、放置してしまうことがあります。このような関わり方の差が、親子間で感情的な距離を生じさせる原因となります。

父親の関与の少なさ

パパが仕事などで育児に十分関与できない場合、ママが全ての育児を引き受けることになり、特に下の子のお世話に多くの時間とエネルギーを使うことになります。それにより、ママが過度に疲れてしまい、上の子に十分な時間や気持ちの余裕を持てず、冷たい対応をしがちになります。

親子の相性①:似ていない

上の子の性格や気質が自分と正反対の場合、親子のコミュニケーションがうまくいかず、理解し合えない場面が多くなります。親は上の子の行動にイライラしやすくなり、上の子に対して感情的に反応してしまうことが増え、これが親子関係に悪影響を及ぼします。

親子の相性②:似すぎている

逆に、上の子が自分に似すぎている場合も、問題が生じることがあります。ママは自分自身を投影し、上の子に過度な期待を抱いたり、自分の短所を見ているように感じることがあります。これにより、上の子の行動に対して過剰に反応し、失望感や不満を感じることが増えるのです。

自分自身の育ち方

ママ自身が幼少期に十分な愛情を受けてこなかった場合、どのように子どもに愛情を注げばいいか分からないことがあります。特に初めての子である上の子に対して、接し方に戸惑いがあり、距離を感じることが増え、親としての自信を失うこともあります。

母親としての傷つき

日本は母親に対する期待が高く、これがストレスの原因となることが多いものです。そのため、子どもに何かあると、真っ先に「自分のせいだ」と自らの落ち度を気にしてしまうという人もいて、その場合、「上の子=自分を困らせる子」という見方になるため、嫌悪感が増してしまうことがあります。

 

これらの要因は1つだけというよりは、重なり合って影響していることが圧倒的に多く、自分の中でもこんがらがってしまい、どこから手をつけたらいいのかと迷ってしまうのです。

 

上の子可愛くない症候群なりやすい人7タイプ

上記の理由を踏まえていくと、どのような人が上の子可愛くない症候群になりやすいのかが見えてきます。まずは、ここにチェックリストを挙げますので、自分と照らし合わせながらチェックしてみてください。

1.子育ての理想が高い人

2.完璧主義の人

3.忙しい人

4.頼ることが苦手な人

5.自分が厳しく育てられた人

6.自分自身が「上の子」の人

7.上の子と自分がそっくりだと思う人

当てはまる数が多い人ほど、陥りやすいと言えます。それぞれどのように向き合っていったらいいのかを見ていきましょう。

 

  1. 子育ての理想が高い人:

子育てに夢や願いを持つことは基本的にはポジティブに働きますが、もしそれらを「こうあるべき」という型にはめてしまうと、上の子の行動が理想と違うとき、きつく当たりがちになります。自分が描く理想と現実のギャップに悩んで、知らず知らずのうちに上の子を可愛く思えなくなることは多いので、その理想が到達しうるものなのかを見直し、考えを柔軟にほぐそうと意識することはとても大切です。

  1. 完璧主義の人:

何事も完璧にこなそうとするママは、自分に厳しいだけでなく、上の子にも高い期待をかけがちです。「もっとできるはず」「こんなことぐらいできて当たり前」と思ってしまい、小さな失敗も気になります。完璧を求めすぎると、完璧以下は「できていない」と映るため、上の子への見方が変わってしまうのです。完璧主義というのは、その人の“思考”のテンプレートでもあるので、短期間で脱却できるものではありませんが、認知行動療法などで自分の思考傾向を意識的に見直すことで、改善が可能です。

  1. 忙しい人:

育児中はとにかく慌ただしいものですが、2人目が生まれるとさらに大変になります。そんなとき、上の子に対し、「もう大きいから大丈夫」と関わりを減らしてしまうと、逆に注意引き行動が増えることもあり、返って忙しくなることも。何かを省くことが求められますが、それは上の子との時間ではありません。家事の見直しは大事なポイントなので、どうすれば少しでも時間が作れるかを模索しましょう。

  1. 頼ることが苦手な人:

「自分でなんとかしなきゃ」と周りに頼らず一人で抱え込んでしまう人は、2人目が生まれるとさらに背負うものが大きくなり、ストレスがたまりやすくなってしまいます。「頼れない」「弱音を吐けない」のは完璧主義と連動していることも多いですが、助けを求めるのも大切なスキルなので、意識的に変えよう!と試みていくことが大切です。

  1. 自分が厳しく育てられた人:

小さい頃、厳しく育てられた人は、知らず知らずのうちに同じパターンを繰り返してしまうこともあるようです。「私はこうやって育ったから」と、上の子にも厳しくなってしまうのです。「自分がイヤだったことは繰り返さない」と反面教師になって改革できると望ましいのですが、厳しいやり方しか知らないとそのまま流されてしまいます。子育ての知識を身につけることが方向転換の助けになることも多いので、自分にとっては未知の接し方を積極的に吸収してみてください。

  1. 自分自身が「上の子」の人:

自分が1人目だった人は、上の子に自分を重ねてしまうこともあるようです。「私はこうだったのに」と比較して、上の子に厳しく接してしまうこともあります。でも、自分がこうだったから、子どももこうなるわけではありません。「子どもは自分の分身ではない」「自分とは違う、1人の意志ある人間」と意識的に捉え直してていくことが重要です。

  1. 上の子と自分がそっくりだと思う人:

「この子、私にそっくり」と思うと。似ているからこそ、自分の嫌な部分を上の子に見出してしまうことも。自分の欠点だと思っているところを上の子に感じると、感情が揺れやすく、つい厳しくなってしまうのです。1つ上のタイプと同様、「私は私、この子はこの子」と意識的に分けて考えるようにしましょう。

さいごに:上の子可愛くない症候群の対処のためにも現状分析を

今回はまずその要因を10個取り上げ、その後に陥りやすいタイプを7つ掘り下げました。「上の子が可愛く思えない」という現象は同じでも、理由はその人それぞれなんだなということがお分かりいただけたかと思います。理由が違えば、おのずと対策も変わってきますので、対策作りのためにまずしっかり理由を掘り下げていけると望ましいです。